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近藤木工所の仕事でトラブルが起きました。 ある住宅の建具の反りです。建具は施工範囲の中で一番トラブルの多い場所です。 この問題は、どの建具屋さんも昔から解決出来ていない課題ではありますが、今回は経緯が違います。 ここでは、このブログをご覧になっている設計者、施工者、お施主さん含めて、再発防止の意味で今回のトラブルを知ってもらおうとアップしました。今後の参考にしてください。 この住宅は、お施主さんから依頼されたある若手設計者が設計し、松山市内でもレベルの高い施工会社が請け負いました。ここまでは良かったのですが、現場を担当した現場監督(現場代理人)が建築について知識が無く、図面を理解することや、現場の段取りもできなかった為、我々下請け業者は2度手間3度手間、やり直し、仕様変更等で多くの損害を当初から被っていました。 また、この現場を担当した大工さんも比較的若い方で、いわゆる建築家が設計した家を建てる経験があまりなかったことと、知識のない現場監督に振り回されたこともあり、細部に渡って設計図通りにつくる事が出来なかった部分がいくつかありました。 その中の1つが、引き込み戸の袋です。引き込み戸は引き込んでも片側で建具が見える片引き戸とは違い、引き込んでしまうと完全に建具はその袋の中に隠れてしまいます。この袋に建具を引き込む為のクリアランスが設計図面通りになっていなかったのです。 ↑※上記は適切な状態。問題の寸法は、建具の見付けが30mmで、左右の余裕は3mmずつしかありませんでした。 その為、天井高さいっぱいまで高さのある建具(H=2400mm)の見込み寸法が本来であれば、36〜40mm必要なところを30mmしか入らない戸袋になっていたのです。 この問題を現場監督に伝えたところ、30mmで建具をつくるように我々に指示をします。 しかし、30mmで高さ2400mmの建具を作れば、反ることは明確です。それは、建設工事の基本である「共通仕様書」にも記載されているのです。 また、設計者の指定した引き手の厚みが建具面よりも2mm突出することにより、戸袋のクリアランスはさらに狭まる状況になりました。実質、クリアランスは1mm。 ↑※引き手取り付けた状態で2mm突出します。 この状況を指摘しても、現場監督は我々の提言に耳を貸すこともなく、「そのままやれ」の指示。 おそらく、現場監督は設計図面と違う仕様になってしまうのにも関わらず、設計者と適切な打ち合わせをしていなかったのだと思います。 案の定、建具は反り、引き手は枠に干渉しました。建具取り付け後に建具が反る度に工場に持ち帰り、作り替えを繰り返しました。 なんとか竣工までに納めて、お施主さんが新居に住み始めました。その後も空調等の影響により建具は反り、手直しは続きます。 それから、1年が経過しました。 お施主さんは、建具に限らず家のいろんなところの瑕疵に気づき、当時の現場監督と手直しの話を進めていたようですが、その現場監督が最後、お施主さんを怒らせてしまいます。 お施主さんは別の一級建築士を呼び、新居を調べてもらったようです。 先日、お施主さんに呼び出されました。住宅の設計者、施工者、別の現場監督(当時の監督はお施主さんを怒らせる為、連れてこなかった)、近藤木工所等が立ち会い、最終的に引き込み戸をすべて作り替えることになりました。 我々は、今までの経緯を設計者にも説明したところ、 「見込み30mmで適切な補強をしなかったのが悪い」との発言。 高さ2400mmの建具を見込み30mmで作らせたことを容認したことと、図面通りに出来ていないことを認めた上で、建具屋が悪いという発言は耳を疑いました。 さらには、建具自体に問題が無い箇所(垂れ壁が下がり、建具が動かない・・・)についても設計者から「これも作り替えて下さい」との指示。つくり替えても同じ現象になるのに、施主に対する単なるパフォーマンスにしか見えませんでした。 近藤木工所の被害総額は、引き込み戸すべての建具作り替えで60万円以上になりました。 厳しい会社運営の中、なんとか職人に給料を払うために、自分自身の給料を全額カットしている中、信じられない経緯で、信じられない被害を被ることになってしまいました。 正しい事が通らず、上からの不適切な判断で思い通りにならないこの現実に少々悲観気味ですが、私も、この問題は歴史が証明してくれると信じています。 ちなみに、設計監理からの問題点を挙げると、建築士は建築士法第18条に違反していると思われます。 1.建築士は、設計を行う場合においては、設計に係る建築物が法令又は条例の定める建築物に関する基準に適合するようにしなければならない。 2.建築士は、設計を行う場合においては、設計の委託者に対し、設計の内容に関して適切な説明を行うように努めなければならない。 3.建築士は、工事監理を行う場合において、工事が設計図書のとおりに実施されていないと認めるときは、直ちに、工事施工者に対して、その旨を指摘し、当該工事を設計図書のとおりに実施するよう求め、当該工事施工者がこれに従わないときは、その旨を建築主に報告しなければならない。 このいづれも業務として遂行しなかった為、今回のトラブルになったことは明確です。 設計者のみなさんも、引き込み戸にする場合は、設計図上ではもちろんですが、設計監理業務の中でも、建具の見込み、袋の十分なクリアランス、引き手等の干渉をチェックするようにしましょう。 施工者のみなさんも、設計図通りに事実上施工できない、又はできていない箇所があった場合はすみやかに設計者と打ち合わせしてください。無視してそのまま続けると、大変なことになります。 設計者、施工者含め、建設に関わる人たちは、みなさん一生懸命やっていますが、必ずしも100%ではありません。関係者が力を合わせてトラブルを未然に防ぎ、100%に近づける努力を怠らないように、今後も近藤木工所は頑張っていきたいです。
by atk-design
| 2009-06-16 14:00
| 近藤木工所
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